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Webサイトとは「つい、うっかりの存在論」である

角谷HTML化計画

「むずかしく考えることはない」と、偉そうに葉巻を振りまわしながら、トレヴィラヌスはいった。「ガリラヤの太守がじつにみごとなサファイアを持っていることは、みんなが知っている。何者かがそれを盗むつもりで、間違ってここへ入ったんだ。ヤルモリンスキーが起きていたので、泥棒は殺さざるをえなかった。どうだね、これで?」
「そのとおりかもしれません。しかし、おもしろくはないですね」と、レンロットは答えた。
J.L.ボルヘス『死とコンパス』(『伝奇集』収録)

2008-03-07(Fri) [長年日記] [Edit]

■1 18th Annual Jolt Awards

先にまとめ

毎年恒例のJolt Awardsが発表された。Jolt Awardsって何なのよ、という話はid:t-wadaによる「コンピュータ業界のオスカー賞、Jolt Awardsの今年の決勝に残った本が発表されました」がよくまとまっているのでそちらを。以下、書籍に関してのみ。

昨年のJolt Awardsのリスト(『アジャイルプラクティス』もProductivity Awardを受賞してます!)を見たときに感じた潮流はそのまま続いているっぽい。その潮流とは、21初頭の空前のアジャイル開発ブームにうっかり転んでしまった人たちが現場で実践した成果や経験、知見が表に出てきているということ。2週目というか第2段階というか、とにかく「再評価」とはまたちょっと違った雰囲気。ビジネス的な環境変化への適応や、「新しい何か」を生み出すための手段として真剣に取り組んでいるようにみえる。

この感覚は、最近InfoQの翻訳のお手伝い始めたこともあって、アジャイルカテゴリの記事を少し身を入れて読む機会があるのだけれども、そこでも感じる。海の向こうの彼ら(のごく一部)はアジャイル開発に含まれている「何か」を本気で信じていて、それを掴もうとしてる。

ひとことでまとめると「アジャイルはじまったな」。

General Books

Beautiful Code: Leading Programmers Explain How They Think (Theory in Practice (O'Reilly))(Andy Oram/Greg Wilson) Jolt Winnerは、『Beautiful Code: Leading Programmers Explain How They Think』これはオライリー・ジャパンから翻訳が出るらしい。『ビューティフルコード』。今春刊行予定。

Productivity Winnersは以下の3冊。

Manage It!: Your Guide to Modern, Pragmatic Project Management(Johanna Rothman) 『Manage It!: Your Guide to Modern, Pragmatic Project Management』
イノベーションの神話(Scott Berkun/村上 雅章) 『イノベーションの神話』
Release It!: Design and Deploy Production-ready Software(Michael T. Nygard) 『Release It!: Design and Deploy Production-ready Software』

O'reillyとPragmatic Bookshelfで独占。『Manane It!』『Release It!』は『Ship It!』に続くシリーズと思っていいのかな。買ったけどちゃんと読んでないのでわからないという。『Ship It!』はオーム社から(オーム社から!)翻訳が出てます。『アジャイルプラクティス』とあわせて読みたい。

Technical Books

Continuous Integration: Improving Software Quality and Reducing Risk (Addison-Wesley Signature Series (Fowler))(Paul Matyas, Steve Glover, Andrew Duvall) Jolt Winnerは 『Continuous Integration: Improving Software Quality And Reducing Risk』。継続的インテグレーションだけで1冊書いた、Martin Fowlerシグネチャシリーズ。

Productivity Awardsは以下の3冊。どれも分厚いなあ。

xUnit Test Patterns: Refactoring Test Code (Addison-Wesley Signature Series (Fowler))(Gerard Meszaros) 『xUnit Test Patterns: Refactoring Test Code』

833p。

Head First SQL(Lynn Beighley) 『Head First SQL』

607p。

Rails Way, The (Addison-Wesley Professional Ruby Series)(Obie Fernandez) 『The Rails Way』

912p

翻訳としてはO'reillyのものはオライリー・ジャパンが頑張ってくれるでしょう。その他のは、その一部については頑張ります……。

蛇足

ここ数年のJoltでは以前ならよく見かけた、Addison WesleyやPeason Educationから出版されそうなソフトウェアエンジニアリングっぽいものよりは、O'reillyやPragmatic Bookshelfのような「実践的(Pragmatic!)」であったり「動くコードを重視する」タイトルが強い風潮が定着しているように思う。今年でいえば、Addison Weselyの数あるラインナップで気を吐いたのが、Martin FowlerシグネチャシリーズやRails Wayだというのもそれを裏付けている感じ。

Tags: jolt book

■2 第20回XPJUGユーザ会、終了しました

とりいそぎ、当日の資料のPDFを公開します。動画はH.264のエンコーディング方法を勉強してからニコ動に置きたいと思ってます(私はプレミア会員なのだよ)。いまiMovieに取り込み中……。

30MB以上あります。イベントの感想などをブクマするときの公式タグは「XPJUG20th」にしたいと思います。ご協力お願いします。

とりいそぎ。参加いただいた皆さま、ありがとうございました。思いっきりホームな場所での発表は、ものすごく楽しかったです。皆さんも楽しんでいただけたようなら、これ以上の幸せはありません。

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本日のツッコミ(全7件) [ツッコミを入れる]

Before...

かくたに [ご指摘ありがとうございます。修正しました!(酔っ払っていて失敗した)]

Yuumi3 [楽しい会でした〜 \(^_^]

あまのりょー [感謝ですm(__)m ニコ動をwktkしてますー またユーザー会にも来て下さいね。]

iwagaki [はじめまして。 偶然本を読んで、偶然ユーザ会を知って、偶然予約できて、参加してみました。 楽しかったです。翻訳と、熱..]

かくたに [ニコ動に公開したので、以後この場でのツッコミを禁止します :-)]


2008-03-08(Sat) [長年日記] [Edit]

■1 プログラミングGauche(Kahuaプロジェクト/川合 史朗) 今日はgauche.nightに行く

私がかろうじて使える関数型言語はMatzLispだけで、あとは純粋にミーハー的な興味。「皆さん普段から構文木を書き下しておいでだとは思いますが」みたいな考えかたはイミフです。今日の gauche.night の目当ては「第2部:デモ大会」の:

「Gauche *で* 本を作る」k16.shikano(鹿野桂一郎)(オーム社)

ですよ。オーム社!! 『アジャイルプラクティス』もGaucheでできてます。shiroさんのおかげでビルドできていたという。Gaucheすごい。もちろん、コラムが充実しすぎている『 プログラミングGauche』の先行販売も楽しみ。

以上、日本オーム社の会かくたにからのレポートでした。

■2 第20回XPJUGユーザ会のプレゼンテーション録画をニコニコ動画で公開しました

3刷決定のことを日記に書けないままこの動画を公開するに至ってしまった。動画にコメントできるので、 以後、今回のプレゼンテーションに関するコメントをkakutani.comへツッコミするのはご遠慮ください。

プレゼンのコメントはニコニコ動画へお願いしますw

スライドPDF

http://kakutani.com/articles/practices_of_an_agile_developer.pdf

かくたにパート

装丁を担当した轟木亜紀子さんのGJぶりはDave Thomasや那須のKent Beck級だということについて。

お詫び:プレゼンテーション中で轟木さんのお名前に誤字がありました。誠に申し訳ありません。 ダウンロードできるスライド資料は訂正してあります。また、動画中に訂正コメントを入れました。

それから、動画で言及していた、Masatoshi SEKIのデブサミ資料は期間限定でデブサミ2008のダウンロードサイトで入手できます。直リンクは、

慌ててダウンロードせよ!

さらにさらに、咳さんといえば昨日公開されたオブジェクトの広場のインタビューがすごすぎる(id:yojik GJ!)。みんな読め。私は30箇所ぐらいReblogした。

それと、今年のJolt Awardsのことは昨日のエントリに書きました

fkinoパート

率直に自分じしんのことを語っていて、深い感銘を受けた。私はほんとうに同僚に恵まれていると思う。

関連リンク

「XPJUG20th」としてマイリストも公開しています。

また、ニコニコ動画のアカウントをお持ちでない方は、見るだけならニコニコ外部プレイヤーで再生可能です。 が、今のところ(開発者がニコ動のアイマスMADに沈没してしまったことで定評のある)tDiaryからは——というかkakutani.comからは——ニコニコ外部プレイヤーを利用できません。さしあたってはid:kakutaniに貼っておきました(コメントはできません)。どうぞご利用ください。

ニコニコ動画はSP1になって、ファイルフォーマットにH.264を使えるけど、上限サイズは40MBなんだな。 40MBに収めるためにビットレートを落としちゃったらH.264の意味なかったりするのかなあ。動画エンコむずかしい。

■3 gauche.night 行ってきた

おまいらはS式が好きすぐる。

ささださんが「2冊目のGauche本は『Gaucheソースコード完全解説』がいいんじゃないか」とナイス発言。オライリー・ジャパンに嫉妬していたオーム社から出すといいと思った。ko1以外にもRubyっぽい人たちも壇上にいて(みんなすごいなあ)yharaさんのBiwaSchemeもid:yuum3のGauche on Rails(ghtml自重www)も楽しそうに発表していた。S式と仲良くなりたい。

オールドタイプ向けのWikiエンジンのOldType。すごい。svnバックエンドとEmacsフロントエンドがあってWebからの部分編集できる(予定)のWiki。私の欲しいものがほとんど揃ってる。足りないのは私自身のS式への愛だけだな。

S式ラブとかフムフムヌクヌクアプアアとかGauche界隈はキャラが立ってていいなあ。優秀すぎるほどのプロモータもいるし。たのしかった。

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本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

TrackBack [http://d.hatena.ne.jp/kunit/20080309#1205062672 kunitの日記 [..]


2008-03-09(Sun) [長年日記] [Edit]

■1 プログラミングGauche(Kahuaプロジェクト/川合 史朗) 『プログラミングGauche』をちょっとだけ読んだ

これはいい本。SICPは教養の足りない私には練習問題がイミフなのでしんどい(なら読書会行けという感じだが)。gauche.test が紹介されていて燃える。gauche さわりたくなってきた。で。本書曰く、Scheme を理解することとは次の2つを理解することだという:

  • lambda式は、「レキシカルな環境を保持した手続き」(クロージャ)へと評価される
  • 手続き呼び出しは継続を伴った引数つき goto である

これ、2番目はLisp脳がしかけた罠ではないか、と思っている(今のところ)。

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2008-03-12(Wed) [長年日記] [Edit]

■1 ギムニクシッティング・ジム55赤【バランスボール】 『ギムニクシッティング・ジム55赤【バランスボール】』

発注した。座ってる姿勢が悪くなるのは運動不足というか筋力不足だからだよなー。 かといってジムに行くのはメンドくさいし、ファイトクラブに入るガッツもないし。

ちゃんと座らざるを得なくなったので、腰の痛みがかなりマシになった。

安いやつはバーストする。職場で目撃したが、あれは危険。なので、アンチバーストなやつにしたほうがいい。

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2008-03-18(Tue) [長年日記] [Edit]

■1 大漁

フムフムヌクヌアプアアたち
きょうはフムフムヌクヌクアプアアがたくさん釣れました。

プログラミングGauche(Kahuaプロジェクト/川合 史朗) 計算機プログラムの構造と解釈(ジェラルド・ジェイ サスマン/ジュリー サスマン/ハロルド エイブルソン/Gerald Jay Sussman/Julie Sussman/Harold Abelson/和田 英一)

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2008-03-25(Tue) [長年日記] [Edit]

■1 ソフトウェア開発者採用ガイド(Joel Spolsky/青木 靖) Joel Spolskyの新刊『 ソフトウェア開発者採用ガイド』

翔泳社さんからいただきました。Joel Spolskyの"新刊"を青木 靖さんが翻訳! って、こないだ 『BEST SOFTWARE WRITING』(この日記での言及)が出たばかりじゃないか。すごいなあ。「ホワイの(感動的)rubyガイド」翻訳も第7章が公開されたよ!!!

翻訳の質はもちろん、出力の高いところで安定しているところも見習いたい……。「みなさんにはいつもご迷惑をおかけします」

と、いうわけであとで読む。とりいそぎアサマシまで。

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2008-03-26(Wed) [長年日記] [Edit]

■1 アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣(Venkat Subramaniam/Andy Hunt/木下 史彦/角谷 信太郎) 『アジャイルプラクティス』の第3刷の見本誌がきた

3刷では、バグを10箇所修正しました。修正内容はサポートページにまとめています。バグ報告をいただいた皆さまありがとうございます。

Webに書かれている感想を読んだり、お会いした方がたから「読みました」「買いました」と言ってもらえるが嬉しいのはもちろんなのだけれども、本書の場合は特に、プラクティスの名前を口に出されるのが嬉しい。「あー、ほんとうにこの本を読んでくれている人が目の前にいるのだなあ」という感慨にひたってしまう。

45のプラクティスの翻訳名は、fkinoと一緒に考えに考えたので、ひとつひとつに思い入れがある。自分たちのつけた名前が、赤の他人の口から肉声として発せられるという体験は得難い。なので、会場中をプラクティス名が飛びかっていた第20回XPJUGユーザ会の光景は、私にとっては今でも鮮烈な印象として記憶されている。

そういえば、この日記では手書きPOPを晒してなかったので、この機会に晒しておこう。コンセプトは「Tumblrっぽく」。というわけで猪股さん、正解!

ジュンク堂書店池袋店

自分が育った場所に自分が監訳した書籍が並んで、そこにPOPを置かせてもらえるというのは光栄の極み。

2236004217_6d171a2233.jpg

(撮影 id:thata)

くまざわ書店錦糸町店

現在私がもっとも頻繁に利用しているリアル書店にもid:emeitchルートでPOPを置かせてもらえた。

2267466398_872aba400d.jpg

(撮影 fkino)

勝手に引用させていただいた皆さま、ありがとうございます(御礼が遅くなりました) > id:masanobuimaiid:snoozer-05hsbt

あ、そうだ。hsbtといえば、素敵な提案がされているのでコピペしておかないと:

せっかく良いレビューがそろっているんだから、(『アジャイルプラクティス』の)レビュー書いた人は Amazon にレビューをそのまま投稿した方がいいように思う。

feed reader で追っかけたり、角谷さんのブックマークを追っかけたりしないような層向け。

ナイス提案。

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2008-03-27(Thu) [長年日記] [Edit]

■1 Ruby on RailsによるWebアプリケーション・スーパーサンプル(久保秋 真/後藤 修一/中村 真一郎) 『Ruby on RailsによるWebアプリケーション・スーパーサンプル』

おっ、モノレール(息子の鉄分が高いのでRails関連書籍の装丁に過剰反応しがち)。と思ってながめてみると:

「ニコニコカレンダ」や「バーンダウンチャート」など、ユニークな実用サンプルを動かしながらRuby on Railsを楽しく学ぼう!

ちょwwww なにそれwwww と思ったら著者のひとりに久保秋さんがいた。納得

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本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

TrackBack [http://www.web-career.com/kawai/2008/05/ruby-on-railsweb.h..]


2008-03-31(Mon) [長年日記] [Edit]

■1 Rubyist Magazine 0023 号

スはスペックのスの第2回id:moroと書きました。背景や周辺のことが中心で、分量の割にはチュートリアルとしてはほとんど進んでない。今回の話は2行でまとめられるんだよな:

  • RSpec on Railsではすべてがユニットテストである
  • TDDとBDDの言葉の違いはどうでもいい

それにしても今回も読みごたえのある記事が多い。id:kwatchバイタリティには圧倒されるなあ。それと、ゴルフはぼくにはむずかすぎる。勉強になる。原センセイへのインタビューがなんだか自分のツボにはまったようで、読みふけってしまった。

今回で、るびまへは3号連続で寄稿。RSpecの連載としては0021号から1つ空いているのだけれども、0022号にはid:thataRubyConf2007のレポートを書いたので。次も載せてもらえるようにがんばろう。分量はもっと減ってもいいからこの先も定期的にリリースし続けていってほしいです。

Tags: rubima

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