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Webサイトとは「つい、うっかりの存在論」である

角谷HTML化計画

「むずかしく考えることはない」と、偉そうに葉巻を振りまわしながら、トレヴィラヌスはいった。「ガリラヤの太守がじつにみごとなサファイアを持っていることは、みんなが知っている。何者かがそれを盗むつもりで、間違ってここへ入ったんだ。ヤルモリンスキーが起きていたので、泥棒は殺さざるをえなかった。どうだね、これで?」
「そのとおりかもしれません。しかし、おもしろくはないですね」と、レンロットは答えた。
J.L.ボルヘス『死とコンパス』(『伝奇集』収録)

2004-03-06(Sat) [長年日記]

■1 The School of Rock(Craig Wedren) 『スクール・オブ・ロック』@パナソニックセンター

夏冬の祭でもないのに有明。試写状の代わりにケータイに表示したQRコードを使ったり、座っている椅子の座布団(新品)がお土産だったり、というちょっと変わった試写会。上映前には施設案内のPV(5分ぐらい)が流れたり。

さて本編。誰に向けてつくっているのかが今ひとつハッキリしない——ジャック・ブラック(1969年生まれ)と同世代向けなのか、あるいはバンドメンバーである小学生たち(1990年代前半生まれ。好きなアーティストは? クリスティーナ・アギレラ!!)向けなのか。いずれの世代ではないが、幾ばくかロックの洗礼を受けてはいる私はポジション取りが微妙。

お話はあたかもクライマックスありきでそこから逆算して話を組み立てられているかのように、なにもかもが一直線に何ら挫折することなくクライマックスへ収束していく。ジャック・ブラックはキーポン・ロッキンなボンクラの偽教員ではある。これはいい。が、問題はもう一方の主役達、彼のバンドのメンバーとなる小学生たちだ。

彼らは小学生ゆえか屈託もないのだが、同様に葛藤も抑圧も蹉跌もない。だってエリートなんだもん。実際には、葛藤はなくもないのだが、そこはあくまでサラリと。ちんたら描いてたらクライマックスに間に合わないしな。すべてはクライマックスのために!!

デブだろうが華僑だろうが家庭の躾が厳しかろうが——金持ちで英才教育を受けた超高偏差値私立に通うご子息ご令嬢達である。祝福されるべき存在である。それでもロックなのか、と思わなくもないのだが、クライマックスはすべての起点なだけに見応え十分。おお、アンガス・ヤングと化したジャック・ブラックの勇姿よ!!

ジャック・ブラックはアンガス・ヤングと化さなくても見ているだけで面白いと思うし、頑張って演奏するものの、劇中では披露されきれてない小学生バンドの面々のテクニックは、長回しワンカット撮り(?)のエンドクレジットで堪能可能と、映画は最後の1秒まで楽しめる。でもなあ……。

ちなみに、映画がメッセージとして伝えんとするところは『映画秘宝』2004年1月号のp.45にてウェイン町山が例によって見事にまとめているのでそちらを参照。Stick to the man!! ——って、これを読んでサントラを聴いたら、あるいは映画は観なくても良いかも……。

日本のチラシよりサントラのジャケのがいいな、と思ったのでリンクはそちら。ゴールデンウィーク公開、の予定。

Tags: 映画

■2百聞は一見にしかず:シンポジウム『クリエイティブ・コモンズ』

あれ。当選したみたい。メールが来た。


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