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角谷HTML化計画

「むずかしく考えることはない」と、偉そうに葉巻を振りまわしながら、トレヴィラヌスはいった。「ガリラヤの太守がじつにみごとなサファイアを持っていることは、みんなが知っている。何者かがそれを盗むつもりで、間違ってここへ入ったんだ。ヤルモリンスキーが起きていたので、泥棒は殺さざるをえなかった。どうだね、これで?」
「そのとおりかもしれません。しかし、おもしろくはないですね」と、レンロットは答えた。
J.L.ボルヘス『死とコンパス』(『伝奇集』収録)

2009-01-09(Fri) [長年日記]

■1 アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~(Mike Cohn/マイク コーン/安井 力/角谷 信太郎) 翻訳書『アジャイルな見積りと計画づくり 価値あるソフトウェアを育てる概念と技法』を出版します

artontakaiはぐれ悪魔超人コンビみたいなタッグによる書き下ろしには敵わないかもしれないけれど、私と同僚の安井さんとで翻訳した新刊が同じ時期に発売するでお報せします。細工も流々なので、いちおう書影も掲載されてます。皆さんどんどんアサマシリンクをどうぞ!! 今回の版元は毎日コミュニケーションズです。他のオンライン書店ではcbook24にも出ているようです。

『アジャイルな見積りと計画づくり』はMike Cohnの『Agile Estimating And Planning』の翻訳です。原著がこの日記を書いている時点で5,148円なのに対し、訳書は3,360円(税込)というお求めやすい価格でのご提供となっております :-)

毎コミの本書紹介のページで、書籍の「イントロダクション」の一部と「訳者あとがき」の冒頭、それから目次が読めます。分量は少ないですが、翻訳のクオリティ判断の参考にしていただければと思います。

書籍ぜんたいの内容については「訳者あとがき」にも書いたけど、本書は安井さんや私が過去3年間に関わってきた様々なプロジェクトでの提案や立ち上げ、見積り、計画づくり、運営のネタ元でした。なので、これから私たちは位置エネルギーを利用した優位な立場に立てなくなります。つまり本書は(安井さんはともかく少なくとも)私じしんにとっては、今後の自分の身の振り方を考えざるをえなくなる一冊です。

けれども、もしも私の仕事が消滅するぐらいに、日本中のソフトウェア開発プロジェクトの見積りと計画づくりがアジャイルになったとしたら、そんな世界はさぞ素敵でいきいきとしているだろうなと思います。本書をきっかけにそんなプロジェクトが増えていくかと思うと、すごくわくわくします(私のなかではそういうことになってます)。

本書を読んだソフトウェア開発の発注者、営業担当、経営陣にプロジェクトマネージャ、現場のリーダーに開発者といった皆さんは、きっと本書の内容をおのおの持ち場で役立てられると私は確信しています。どうぞご利用ください。

サポートページは準備できたら別途アナウンスします。

User Stories Applied: For Agile Software Development (Addison-Wesley Signature Series (Beck))(Mike Cohn) Mike Cohnとバーンダウンチャートと私(抄)

長くなったのでセクションを分けます。個人的に、今回の仕事を通じてMike Cohnを日本のアジャイル界の皆さんに紹介できることも光栄に感じている。

『アジャイルな見積りと計画づくり』の原著者であるMike Cohnの前著は『User Stories Applied: For Agile Software Development』で、私はこれを読んでバーンダウンチャートをはじめたのでした。これを世界のケンジは「おそらく日本最古のバーンダウン」と言ってるけど、たぶんもっと古いものはあるんじゃないかな。ただ、日本のアジャイル界に事例として放流したのは私だと思う。2004年7月。

『User Stories Applied』はいまだに翻訳がなくて哀しいなあ。5年前に某社の編集さんに話を振ったときにはスルーされたけど、現場の皮膚感覚としては、そろそろ日本に紹介してもいいかもしれない。原著の出版から5年経ってるけど、洋書で類書は結局出てないのは、誰も本書に勝てないからじゃないかなあ。しかも、Kent Beck Signatureシリーズの記念すべき1冊目。もはやアジャイル界の古典ですよ。もしどこも手を着けないようでしたら翔泳社さん、いかがでしょうか ;-)

Tags: aep

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