2003-04-02(Wed) [長年日記]
■1 ペット用のカメなど盗難 東京・足立区
非亀道的だと思うのでやめてほしい。
■3 マイケル・ムーアの新作
『Fahrenheit 911』。華氏911度? ブラッドベリ?
■4 『ラガーン〜クリケット風雲録〜』の感想文
「──(小説の価値は)小説という形式でしかできないことをやっている、ということだ」 (『たかがバロウズ本。』からテキトウに孫引き)
映画には、映画にしかできないことがある。
「19世紀末、大英帝国支配下のインドの農村にて。2年分の年貢(LAGAAN=ラガーン) の免除を掛けて、村民選抜チームとイギリスチームがクリケット*1の試合をする。」お話はそれ以上でもなければ、それ以下でもない。 晴れわたる青空の下の昿野。村人総出でクリケット。それだけで224分。3時間34分。
映画にしかできないことは、SFXでも複雑な筋でもドンデン返しでもキャラ立ちでも--女体でもカンフーでも銃でもアクションでもない。エモーション。感情。その昂ぶりと、爆発する瞬間。
クリケットの試合にて村チーム選手が入場するシーンになるや会場からは盛大な拍手が起こり、アウトやら6点打やらファインプレーに一喜一憂の拍手と溜息が会場に溢れるのは、本場仕込みの方が多くいらっしゃるインド映画祭*2ならではかもしれないけれど、別にインド人が多いからこうだというわけではなかろう。こういった感情の起伏の体験、小屋の空気、息遣いを感じる体験。これらも含めて観客にとっては映画なのだ。郊外のシネコンやミニシアター、試写会場に引きこもっていては忘れてしまいそうな、感覚*3。
歌と踊りでもって語られがちなインド映画。けれど旧くは『鴛鴦歌合戦』から『クレージー黄金作戦』、『真田風雲録*4』などなど(相変わらずここらへんの引出の中身は少ない私)、かつて、映画において本編と歌と踊りとは密接な関連があった。そこには映画としてエモーションの爆発を描く方法論としての親和性があったのではないか。──それにしても、だ。やはり本場(?)は魂への揺さぶり方が違う。お話じたいはフィクションなのだけれど、だから、何だ? と。
映画には、映画にしかできないことがあるのだ。青空。昿野。歌。布。踊り。群舞。クリケット。
残念ながら劇場公開は見送られてビデオ/DVD*5スルーな模様。 インド映画ブーム(ですらなかったような)去りし今、レンタル店にどれだけ入荷されるのかも危ぶまれるけれど、『シカゴ』観てる場合でもなければ、観た後に『少林サッカー』との類似を安易に持ち出してる場合でもないですよ。
*1 私は観たあとに激しく後悔したのだけれど、事前に[[日本クリケット協会|http://www.jca-cricket.ne.jp/]]にある、[[基礎知識|http://www.jca-cricket.ne.jp/1_kisotekinachishiki.htm]]程度は目を通しておいたほうがよかったと思った。
*2 インド映画祭2003はとっくに終わってます……。
*3 特権的に映画だけが持っているわけではないとは思うが。
*4 奇しくも本作の邦副題は『ラガーン〜クリケット風雲録〜』だったわけだが。
*5 (DVDは[[既に発売中|http://www.spe.co.jp/video/dvd/200303/tsdd-33375.html]]。3,800円+税)