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角谷HTML化計画

「むずかしく考えることはない」と、偉そうに葉巻を振りまわしながら、トレヴィラヌスはいった。「ガリラヤの太守がじつにみごとなサファイアを持っていることは、みんなが知っている。何者かがそれを盗むつもりで、間違ってここへ入ったんだ。ヤルモリンスキーが起きていたので、泥棒は殺さざるをえなかった。どうだね、これで?」
「そのとおりかもしれません。しかし、おもしろくはないですね」と、レンロットは答えた。
J.L.ボルヘス『死とコンパス』(『伝奇集』収録)

2012-03-10(Sat) [長年日記]

■1 「Agile Meets UX~アジャイル開発とユーザエクスペリエンスの遭遇~」(ジュンク堂書店池袋本店トークセッション)にお呼ばれしてきた

オーム社から出す本のトークセッションをジュンク堂でやるから出演してほしいと依頼されては断わる理由がないので、お呼ばれしてきた。ユーザビリティとユーザーエクスペリエンスとHCDとUCDの何をアジャイルにしたいのかがあんまりピンと来てなかったんだけど、だんだんわかってきたのは収穫だった。UXデザイナ史観からのアジャイルソフトウェア開発というのに触れることができてよかった。

次に訪れるべきなのは、リーンスタートアップの世界なのだろうな(これは@takahashimに「開発者史観とは別のアジリティがある」と鳴滝っぽく言われてから気になっている)。The Lean Startup翻訳が出る(Amazonで予約できるとのことなので、もうひと波くるんでしょうな。たぶんその先触れがAgile Japan 2012の東京サテライトなのかも。

トークセッション自体は、限られた時間のなかでコンテキストを合わせながら、3人それぞれの関わりかたをしながら司会進行も居るというなかではあれもこれもそれもは話せないんだけど、司会進行の川口さんも含めて各々の見せ場はつくれたんだじゃないかなあ。満足してもらえたかどうかは、普段自分が接しているクラスタとは若干異なる感じだったので、よくわからないのであった。

今晩の主役だった樽本さんの新刊『アジャイル・ユーザビリティ ―ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング』のユーザビリティ評価というコンセプトはつまりソフトウェアは使い手の頭の中にあるわけだから、とにかくテストしないと、という理屈は理解できたつもり。あとは実践に向けてのガッツとパッションにビジネス的な納得感(説得力じゃなくて)をどう現場で培っていくかだなあ。

ちなみに、この『アジャイル・ユーザビリティ』はオーム社eStore(β)でも販売予定です。時期はちょっと未定というか調整中……。

『ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング』は個人的にはもやもやしていたところを言語化しようとしてくれていたので気に入っていたので、訳者の脇阪さんの前で「この本は良い!」って言えてよかった。

当日の様子は、録画は私がiPhoneばっかりイジってるところも含めてそのうち公開されると思います。当日のメモ書きを、刊行予定なのにトークセッションを(売る本がまだ無いのに書店で!)開催する大物、櫻井達生先生が公開してくれています

ちなみに『スタートアップRuby』は、万葉社員や株主からチラ聞きした感じだと、After Rails世代の日本のRubyistを文化的な視点から切り取ったルポのような一冊と聞いているので、とても楽しみにしていますが、そんなことより会場に着くなり『後藤さんのこと』を持参して「この後藤さんはRubyのどの後藤さんですか?」と聞いてきたカリスマ書店員の練度の高さがヤバい。

事前の打ち合せで話は出たんだけど言及できなかったトピックとしては、『アジャイルサムライ』でシレっと開発チームのメンバーに「アジャイルUXデザイナ」が入っているのが面白いよね、という話題があった。個人的にはUX方面の人にそこを意外がられるのが意外だったので、どういう意図があるのかを、あとでlJonathan本人に聞こう。

それから個人的には、アジャイルUXデザイナを開発チームに入れていく具体的な方法が最近気になっていたんだけど、今晩は聞けなかった(UXデザイナ雇いたい!)。

普段と似てるようでちょっと違う話を聞いたり考えたりするのは良い刺激になりました。ありがとうございました。以下は記録の意味でジュンク堂のサイトからコピペ:

樽本徹也・著 『アジャイル・ユーザビリティ』(オーム社) 刊行記念トークセッション
Agile Meets UX
~アジャイル開発とユーザエクスペリエンスの遭遇~

■2012年3月10日(土)19:30~

樽本徹也:『アジャイル・ユーザビリティ』著者
脇阪善則:『ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング』訳者
角谷信太郎:『アジャイルサムライ』監訳者
【司会】川口恭伸(アジャイルUCD研究会代表)

「アジャイル」と「UX(ユーザエクスペリエンス)」は近年のソフトウェア開発における代表的キーワードです。しかし、それを製品開発に活かす方法については、まだ模索しているという人が多いのではないでしょうか。
2012年2月にオーム社より『アジャイル・ユーザビリティ ―ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング―』が出版されます。この出版を記念して、本書の著者である樽本氏を中心にアジャイル開発とUXそれぞれの分野から第一線の実務家を迎えたトークショーを開催します。アジャイルとUX、そしてその複合領域であるアジャイルUXについて、ざっくばらんなトークと会場を巻き込んだ活発な質疑応答をお楽しみください。

◆講師紹介◆
樽本徹也(たるもと てつや)
利用品質ラボ代表。ユーザビリティエンジニア/UCDコンサルタント。ユーザビリティ工学が専門で特にユーザ調査とユーザビリティ評価の実務経験が豊富。著書は『ユーザビリティエンジニアリング』『これだけは知っておきたい組込みシステムの設計手法』。寄稿や講演も多数。

脇阪善則(わきさか よしのり)
楽天株式会社編成部プロジェクトマネージャー。 スマートフォン系領域の UI設計、サービス企画を推進中。UX TOKYOのメンバーとして、日本でのUX分野の裾野を拡大中。昨年末に、丸善出版から『ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング(原題:Storytelling for user experience)』を翻訳して出版。

角谷信太郎(かくたに しんたろう)
株式会社永和システムマネジメント サービスプロバイディング部コミュニティマネージャ。一般社団法人日本Rubyの会理事。Asakusa.rbメンバー。監訳書・訳書は『アジャイルサムライ』『アジャイルな見積りと計画づくり』『アジャイルプラクティス』など。寄稿や講演も多数。

川口恭伸(かわぐち やすのぶ)
アギレルゴコンサルティング所属。金融向けプロダクト企業にて、14年間勤務。社内向けの新規ツールや、新企画のパイロットプロジェクトを中心に、少人数でユーザ調査から製品開発、運用まで行うプロセスを探求。2011年7月より現職。アジャイル開発手法スクラムの研修等を手がける。

『後藤さんのこと』

『アジャイル・ユーザビリティ ―ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング』

『ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング -よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方』

『アジャイルサムライ-達人開発者への道』


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