«前の日記(2010-12-02(Thu)) 最新 次の日記(2010-12-04(Sat))» 編集
RSS feed
Webサイトとは「つい、うっかりの存在論」である

角谷HTML化計画

「むずかしく考えることはない」と、偉そうに葉巻を振りまわしながら、トレヴィラヌスはいった。「ガリラヤの太守がじつにみごとなサファイアを持っていることは、みんなが知っている。何者かがそれを盗むつもりで、間違ってここへ入ったんだ。ヤルモリンスキーが起きていたので、泥棒は殺さざるをえなかった。どうだね、これで?」
「そのとおりかもしれません。しかし、おもしろくはないですね」と、レンロットは答えた。
J.L.ボルヘス『死とコンパス』(『伝奇集』収録)

2010-12-03(Fri) [長年日記]

■1 12/9(木)のJim Coplienのセミナー「Scrum (Fine) Tuning using Organizational Patterns」に参加します

世界の破壊者ディケイド。九つの開発方法論を世界を巡り、その瞳は何を観る――?

(新しいtDiary環境だとどんどん日記を書けてしまうので無駄に長いです)

今年1月に来日した(って@:kkdと一緒に呼んだんだけど)、Jim "Pattern Rider Decade" Coplienがふたたび日本にやってくる!! ――ってもう日本に来てるらしいけど。

前回の来日ではアジャイル開発とオブジェクト指向をディディディディケイドしていった彼だけれども、こんかいは最新作『パターンライダーW FOREVER AtoZ 運命のトランザクションメモリ』……じゃなくて『Lean Architecture: for Agile Software Development 』の共著者Gertrud Bjørnvigと一緒に、Scrum Training Instituteのトレーニングコースを日本で開催するそうです。これは彼らのチャレンジだそうな。コースは2つ。

CSMの講師はCopeだけ。この研修コースの開講にあたって、日本側のローカルアレンジメントはid:wayaguchiとkkdを中心とした2周目のアジャイル界隈のコミュニティの皆さんが支援している模様。おつかれさまです。

私はCSMには興味のない、モグリのアジャイル開発実践者なので(だから高いですよ)、CSMは「Scrumコミュニティ」の皆さんにおまかせして、私とid:nawoto――彼はCSMだけど、私が札幌に行ってるから参加できない「参加のまちづくり演習(中級編)」にも参加するパターン野郎でもあったりする。あとAgile Day 4で話らしいので応援してあげてください――のふたりはScrum Fine Tuning に参加予定。

さて。よく訓練された日本のオブジェクト指向技術者は、研修コースのタイトルの「Organizational Patterns」という名前からまさーるさんの手になる「組織パターンとプロセスパターン」を想起したと思います。正解。Organizational Patternsの提唱者である Jim Coplienが、『Lean Architecture: for Agile Software Development 』の共著者Gertrud Bjørnvigと一緒に、組織パターンでScrumを(Fine) Tuningするための講義をしてくれるのだッ!!!

――でも、お高いんでしょう?……98,000JPY

研修コースがどんな内容なのかは、日本語訳をCopeに送付して掲載してもらってるけど、このエントリの最後にも全文コピペしておきますね。

この研修についてローカルアレンジメントチームに確認したところ、まだ申し込みは可能だそうです。急いで稟議を回せ!! ……とかアオっても、どうせ日本のソフトウェア開発者は水と安全とカンファレンスはタダだと思ってるので、この研修コースもスルーされちゃうのかなあ、と思ったり。個人的にid:digitalsoulとえにしテックの社長には声をかけてみたけど(後者は業務都合でむつかしいみたい)、他に誰が来るんかな?

肝心の申し込みは以下のサイトから。

たしか10月頃に、Registrationしようかなと思い、「これってほんとうに開講されるの?」とCopeに聞いたらその返答は「Scrum Fine Tuningのコースはいつも人気で、今週末はイスタンブールでやるんだけど満席なんだけど、東京のはまだ誰も申し込んでないよ。日本人はみんな直前に申し込むの?(要旨)」。

まあ、なんというか、この国(とかいう物言いは嫌いだけど便利だからここでは使う)のアジャイルソフトウェア開発への問題意識はイスタンブール以下なのかもしれないですね(トルコでどういうソフトウェア開発してるのかは私も知らんけど)。

長くなりましたが(で、このあとコピペもあるのでまだ続きますが)個人的にはとても楽しみにしています。CSMトレーニングのほうは申込者も順調っぽいです。よかったですね。

以下コピペ

組織パターンでScrumを微調整する 〜 Scrum Fine-Tuning using Organizational Patterns

http://scrumtraininginstitute.com/classes/show/279 (セミナーは英語で実施されます)

概要

「Scrumは説明するのは簡単だが実践するのは難しい」――このセリフはもう100万回ぐらい聞いただろうか。手元の「Scrumできるかな?」リストは熟読した。これに従いさえすればScrumをうまくやれるはずだ。ところがScrumでも失敗はする。しかもその理由は必ずしも明白だとは限らない――死んだ当人には死因がわからないものだ。Scrumには50以上の組織パターンが含まれており、そのひとつひとつが実際にScrumをうまくやるために欠かせないのだ。パターンを知れば、Scrumを実践する上での問題を見つけ、それを治すことができる。本セッションではハンズオン形式でその方法をお伝えしよう。

セミナーの説明

本セミナーでは、組織パターンをつかってScrumによるプロジェクト運営を改善する方法を学ぶ。組織パターンのひとつひとつは小さく、局所的に取り入れてScrumを強くしていく。パターンとは他の組織でもよく見られる問題に対する解決策を表現したものであり、当然のことながら、少しずつ現場で試しながら適用していく。パターンはアジャイルプロセスの改善にも役立つのだ。

本セミナーで紹介するパターンは、パターンのコミュニティ(PLoP)での多岐にわたるレビュープロセスをくぐり抜け、確かにさまざまなところで再現していると認められたものだ。さらにいえば、それぞれのパターンは、全員ではないが世界中にいる先導的なScrum実践者にもじっくり検討してもらった。さて彼らの反応やいかに?

本セミナーでは組織パターンを3つに分類する。

第1のグループは、Scrumのフレームワークにそのまま当てはまる。例えば Firewall という、開発者から厄介な問題を遠ざけておく係を置くパターンがある。Scrumでこの役割を担うのは誰だろうか? Scrumマスターはチームを守るが、そのために自身がFirewallとなる。もう少しわかりづらい例としては、プロダクトオーナーもまたFirewallなのだが、その実現方法は、要求を追加するのはスプリント単位に限るというやり方によるものだ。ではマネージャについてはどうだろうか。マネージャはFirewallたりえるだろうか?(Patron Role のパターンも参照されたい)

第2のグループは、Scrum実践の心構えに関するパターンだ。これはScrumのフレームワークそのものには含まれていないが、良い習慣と見なされている。たとえば、Get on with it パターンがそうだ。このパターンでは、何かを始めるにあたり、完璧で満足のいく計画がなくても、現時点の情報をもとに最初のプロダクトを構築すべく前へ進んでいく。

第3のグループは、Scrumのプロセス改善をより効果的にする考え方や話し合いのヒントになるパターンだ。たとえば、Face to Face Before Working Remotely (離れて作業する前に会う)パターンがこれにあたる。地理的に離れて作業するチームがうまくやっていくためには、離ればなれになるより前に、チームメンバー同士が顔を合わせる時間を確保することは見逃せない成功要因だろう。

セミナーの終わりには、あなたはパターンをつかってどうやって実際のScrumプロジェクトの弱点を見つけ、改善していけばよいかがわかるようになる。

予定している内容
  • はじめに
  • パターンと組織パターンの簡単な歴史
  • 3分でわかるScrm
  • パターンの概要
  • Scrumのコンテキストにおける組織パターン
    • Scrumから組織パターンへ: Scrum視点から見たパターン
  • 組織パターンからScrumへ: パターン視点から見たScrum
  • パターンの3分類
  • パターンを使って障害を取り除く
  • パターンの依存関係
    • パターンの依存関係
    • パターンの順序
  • パターンランゲージ
  • 高度なトピック
  • 次の一歩と宿題

各参加者には『Organizational Patterns of Agile Software Development』を一冊、配布します。

(翻訳: 角谷信太郎)

関連リソース

Lean Architecture: for Agile Software Development
James O. Coplien/Gertrud Bjørnvig
Wiley
¥ 2,457

Organizational Patterns of Agile Software Development
James O. Coplien/Neil B. Harrison
Prentice Hall
¥ 3,725

Tags: agile

■2 札幌Ruby会議03のために札幌にきています

機内(なんかガラガラで快適)でMacを使えない時間つぶしに読んでた『パブリックスピーカーの告白 ―効果的な講演、プレゼンテーション、講義への心構えと話し方 』がやたらおもしろい。『プレゼンテーションzen 』よりこっちのが好きだな。

札幌では水と安全とサッポロクラシックはタダ同然(一部誇張)。快速エアポートはuシートだと電源があるのでおすすめ。部屋にチェックインして、仕事とかお仕事とかを日記書いたりしてたらスライド進んでない。

スタッフと内地からの参加者のウェルカム舟盛り@てっちゃん。Matzがいる!! 過去4年間、5度の札幌で4回目のてっちゃんで遂にMatzが。 @:ogijunとふたりでひと舟を撃沈させた。あとは自分を守るために他人を傷つけていたのだなあ、と実感したので個別に反省。今晩の時点でお久しぶりな感じの人たち中心に話していてもみんなとは話せない状況。明日は150人以上の規模になるかもとのこと。懇親会とかどうなるんじゃろ。私の出番は最後。カンファレンスで発表するときって、自分の順番終わるまでなのでうわの空だから、札幌Ruby会議って実は断片的にしか記憶がなかったりする。

パブリックスピーカーの告白 ―効果的な講演、プレゼンテーション、講義への心構えと話し方
Scott Berkun/酒匂 寛
オライリージャパン
¥ 2,310

プレゼンテーションzen
Garr Reynolds/ガー・レイノルズ/熊谷 小百合
ピアソン桐原
¥ 2,415


«前の日記(2010-12-02(Thu)) 最新 次の日記(2010-12-04(Sat))» 編集
RSS feed