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Webサイトとは「つい、うっかりの存在論」である

角谷HTML化計画

「むずかしく考えることはない」と、偉そうに葉巻を振りまわしながら、トレヴィラヌスはいった。「ガリラヤの太守がじつにみごとなサファイアを持っていることは、みんなが知っている。何者かがそれを盗むつもりで、間違ってここへ入ったんだ。ヤルモリンスキーが起きていたので、泥棒は殺さざるをえなかった。どうだね、これで?」
「そのとおりかもしれません。しかし、おもしろくはないですね」と、レンロットは答えた。
J.L.ボルヘス『死とコンパス』(『伝奇集』収録)

2005-04-30(Sat) [長年日記]

■1 恋するプログラム―Rubyでつくる人工無脳(秋山 智俊) 『恋するプログラム—Rubyでつくる人工無脳』

カバーが「Ruby♥」となっていてステキだ。プログラムにさほど親しんでいない人向けに、人工無脳をつくる「手段」としてRubyを紹介。あくまでRubyも手段でしかないので、記述は簡潔だけれど、本文だけでなくコラムでのフォローもポイントが押さえてあってわかりやすい。本文にもさりげなく遊びゴコロがまぶしてあって、バランス感覚を感じる。

単純なテキストベースのものからGUI、応答のバリエーションと続き、最後はSOAPでググる、という展開も自然で興味深く、オブジェクト設計についても、専門用語は一切でてこないけれど、SRP(単一責任原則)やOCP(開放/閉鎖原則)を満たすような誘導がしてある。素晴らしい。

書籍の概要に:

手法を羅列しただけのものにならないよう、とくに「なぜそう作るのか?」ということを詳しく解説します。「やりたいこと」から実装への道筋を理解できれば自分なりに改良し、アイディアを試してみることも容易になるでしょう。

とある通りの内容だと思う。

職業プログラマには食い足りないところもあると思うけれど、私のようなヘタレには楽しめた。

著者の秋山さんは亡くなられているそうだ。Ruby界にとって貴重な人がまた一人いなくなってしまった。残念だ。


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