「むずかしく考えることはない」と、偉そうに葉巻を振りまわしながら、トレヴィラヌスはいった。「ガリラヤの太守がじつにみごとなサファイアを持っていることは、みんなが知っている。何者かがそれを盗むつもりで、間違ってここへ入ったんだ。ヤルモリンスキーが起きていたので、泥棒は殺さざるをえなかった。どうだね、これで?」「そのとおりかもしれません。しかし、おもしろくはないですね」と、レンロットは答えた。 J.L.ボルヘス『死とコンパス』(『伝奇集』収録)
子守の合間に少しずつ読み進めていたのだが、ホイヘンスのタイタン着陸までに読み終えられず。あとがきはもちろん本編もまだ下巻の途中。そんな私にも言えることは、年末に眠い目をこすりながら観た『あなたの御先祖の物語』は全部嘘っぱちだということですよ。
で、本筋と直接関係ない*1ところから、いまの気分で文脈を剥ぎ取ったかたちで引いてみる:
価値の——富の——ものさしは、知識と能力だった。それは、盗むことも、ためこむことも、税を課すことも、偽造することもできない。使わないでほうっておいたら、存在しないのと同じことだ。
*1 けどホーガン的には重要だよね?
ホーガンの復活を願っている者です。「揺籃の星」は解説まで含めて1つの作品と理解しています。
ホーガンの復活を願っている者です。「揺籃の星」は解説まで含めて1つの作品と理解しています。